目標設定およびポジティブ思考に関する授業の事例

私たちの学びや気づきは実践からその成果を得ています。

 

また、学力と人間関係力は相関関係があると思っています。

 

さらに学力を伸ばすために、コミュニケーション力を向上させるのは、有効であると思います。

 

しかしながら、学生は体験が少なく、また比較的閉鎖的な社会での人間関係の中にいると考えられます。

 

従来の知識だけの授業では、気づきが起こる可能性が低く、また実践に結びつける可能性も低いと思われます。従って、どのように体験学習を、制限的な授業環境と授業時間で実現し、しかも、人間関係がどちらかというと、苦手だと思っているだろう学生に、学生同士の関わりの中で、実践を実現するか、という命題に関してのこれは実施事例です。

 

知識ではなく、プロセスを自分自身に適用して体験することで、将来、知識として再び学ぶ機会が来たときに、体験が知識を助けると私は確信しています。また、自分自身について考察することで、自分を通して他人を気づくという体験はとても重要なプロセスです。

肯定的に表現することは、人間関係にどのように必要か

「旅行実務」という授業で、私が何のために肯定的表現という項目をおこなったかというと、人間関係において、言葉に意味よりも、関わり方がとても重要な要素であると思っているからです。

 

その項目はいくつもありますが、特に肯定的、あるいは否定的な表現は、同じ内容を表現しているにも関わらず、反応を大きく変えるからです。

 

またそれは、自らの行動についても、同じ効果があるからです。

授業の概要

会 場 大阪府内某大学
日 時 平成23年10月28日金曜日
回 数 全15回中 第6回目
講義名 「旅行業実務」:第6回テーマ「肯定的に表現する」
目 的 肯定的に表現することで、肯定的な接客を実現できることを理解する。

授業過程 その1

<「ハッピーニュース」の作成>


2人ないしは3人で自由にしゃべる。

この際に私が話すことはハッピーニュースの意味と、自分自身のハッピーニュースだけである。5分で合図をし、それぞれが指定用紙に書くよう促す。時間は5分。内容は自由だが、次のように書き方を指示する。

「1.ハッピーニュース(段落)ありがとう。〜(時期)にあった私のハッピーニュースは〜(内容)です。それの何が私をハッピーにさせるかというと〜だからです。」

5分後、書き終えた人は、グループの人と互いに書いたものを読んで伝える時間とする。

あるいはまだ書いている途中の人は書く時間とする。ほとんどの学生は10分を書く時間につかう。私が注意をするのは、書いていないということだけで、そのほかは学生に任せる。

しゃべっている学生は、注意が内部に向いていないので「今は書く時間」と促す。あるいはハッピーがない、と考える学生には「ハッピーニュースは?」と聞くと、「ない」あるいは「アンハッピーならある」というようなことが帰ってくる場合がほとんどである。その場合は「ああ、そう」とだけ答えるか、あるいは「たいへんやね」とそのように理由付けている状況を聞く。

<実際に記入した学生のハッピーニュース>

授業過程 その2

<「やりたくないこと/したくないこと」と「やりたいこと/したいこと」の作成>


指定用紙の裏に、「やりたくないこと/したくないこと」と「やりたいこと/したいこと」を箇条書きで書く。

その際左側に「やりたくないこと/したくないこと」、右側に「やりたいこと/したいこと」を書くように、書き方を指示する。これは一般的に左が過去で、右が未来であることによる。どちらをいくつ書いてもそれについては個人による。私が注意するのは、何も書いていないということについてと、単語だけの表現についてで、例えば「仕事」と左側に書いてあれば「仕事をしたくない」と書くように促す。

「やりたくない/したくない」「やりたい/したい」と動詞まで書くことで、自分自身の気持ちを客観視する効果を期待している。

考えて書き出す時間は5分とした。

否定的表現と肯定的表現について、意味は同じで表現方法が異なることを理解してもらうために、例題をいくつか板書して説明する。

それからそれを指定用紙にそのまま写し書くことを指示する。その間に練習問題を数問板書し、グループで考えるよう指示する。

それからそれぞれの考えた答えを発表してもらった。答えはいくつもの表現ができるので、どのような答えでも肯定的であれば正解だと伝える。

それから「私の表現では」と言ってから私の回答を発表する。自分の答えと私の答えを両方、指定用紙に書くように指示する。

指定用紙の裏に書いた、「やりたくないこと/したくないこと」と「やりたいこと/したいこと」について、それぞれ否定的表現については、肯定的表現で表現するよう指示する。

否定的表現が一つで、ほとんど全部が肯定的表現であった一人の男子学生(長尾)が「どうすれば良いのか」と質問があったため、それについて否定的表現を考えるように指示した。それによってバランス思考ができ、全体視ができる効果を期待する。

数分時間をとったあと、指定用紙に次のように書くことを指示。

「3.したいこと、したくないこと(段落)ありがとう。私のしたいことややりたいことは、〜です。そしてそれらが実現したら、〜です」。箇条書きでも構わない、と指示する。

<実際に記入した学生の「やりたくないこと/したくないこと」と「やりたいこと/したいこと」>

<実際に記入した学生の「私のしたいことややりたいこと」>

<実際に記入した学生の「私のしたいことややりたいこと」>

<実際に記入した学生の「私のしたいことややりたいこと」>

<実際に記入した学生の「私のしたいことややりたいこと」>

授業過程 その3

<「感想」の作成>


毎回授業の最後に書く感想を指示。

「4.感想(段落)ありがとう、今、私のしたことは〜です。そして今、私が気づいたり学んだりしたことは〜です」

<実際に記入した学生の「感想」>

<実際に記入した学生の「感想」>

<実際に記入した学生の「感想」>

<実際に記入した学生の「感想」>

<実際に記入した学生の「感想」>

考察

私はすることを指示したのみであるが、学生は自分自身で答えを見つけ、自分の未来について発展的に創造を行っています。

 

このことから私は「人間は自然に前向きである」といえると考えます。
というのは全ての人間は前向きにしか生きていないということで、適切な関わり方ができれば、自ら前向きに自分の未来を創っていくことが可能です。

 

この授業の後、鈴鹿国際大学で同じ内容の授業をおこなったところ、ある日本人男子学生から、「丁寧に言っているので、(否定的な表現でも)問題は無い」と意見がありました。これに対して「丁寧とは何か?」と質問すると、「相手を大切にすること」という答えでした。

 

相手を大切にする、ということは分かっていても、その大切にするための要素がいくつもある、ということを知らないでいることが問題だということが分かります。

 

否定的な表現は、自らをも制限します。授業に集中しない学生ほど、否定的な表現をより多くしていることが分かります。言葉を変えるだけが、全ての解決ではありませんが、より良く生きるために、必要な要素の一つであると思います。

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