調理部門の組織と食品衛生

内容: 大型ホテルの特徴的な調理部門の組織、また、和食の調理師の役割分担について、同時に、食品衛生について説明する。

事前の学習( 45分)
農林水産省のウェブサイト消費期限と賞味期限」、「食中毒から身を守るには」を読んでおく。
農林水産省「消費期限と賞味期限」http://www.maff.go.jp/j/syokuiku/kodomo_navi/featured/abc2.html
「食中毒から身を守るには」http://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/foodpoisoning/

事後の学習( 45分)
特に食品衛生について、日常的に実施できるものを実施する。

今日の内容

  1. 調理部門の組織
  2. 主厨房 Main kitchen
  3. 食品衛生
  4. 食中毒
  5. 賞味期限と消費期限

調理部門の組織

テキスト「ホテルビジネス基礎編」158ページ

調理部門の組織図

総料理長

または調理部長、Grand chef.
調理長は、習慣的に、和食で使い、料理長は洋食で使うことが多い。

 「トック・ブランシュ(白帽)からこぼれる笑顔は、少なからず、味や雰囲気に影響する」(※引用:『対談 料理長』柴田書店、1986年)

総料理長の役割

※一般のコックと何が違うのでしょうか?

  1. 料理の品質管理(技術)
  2. メニューの作成(企画)
  3. スタッフの掌握(指揮)
  4. 食材の調整(フードコントロール、調整)

主厨房 Main kitchen

テキスト「ホテルビジネス基礎編」159-160ページ

セントラル・キッチン方式
機能と設備を集中化して作業効率を上げ、生産、配送、洗浄、保管、衛生管理を適切に行うため、分業を採用し、セントラル・キッチン方式が主流となっている。メリットは、原価管理、調理時間とスペースの合理化、人件費、光熱費の節約、食品衛生管理が容易である。

ホット・セクション

火を使う調理、温かい料理を担当する

コールド・セクション

火を使わない調理、下ごしらえ、冷たい料理(サラダ、オードブルなど)を担当する、食肉の切り分け、ソースやドレッシング作り、野菜の切りそろえ、などがある。中規模ホテルでは、外注することもある。

製菓、製パン

製菓料理人はパティシエ

フランス pâtissier 本来は男性の菓子職人を指す。女性の菓子職人はパティシエール( pâtissière )。本来このパティシエは、器やパイ生地等に肉や魚を詰めて焼く料理、パテ料理の製造人のことを指していた。それが、いつの頃からかフランスでは菓子全般の職人のことを差す言葉となる。日本では主に「スイーツ」と呼ばれる洋生菓子やデザートを作る職人の名称となっている。 <google>" title="引用:「パティシェ」(2017-03-20)"

ベーカリー

ケーキ、デザート、パン、アイスクリーム、を担当、
宴会で一時に大量に必要なものは、外注することがある。

和食

和食の調理長は花板
和食のトップは、まな板の前で仕事をしているから、「板前」、「板長」、「花板」

調理人の新人は、フランス料理では ”コミ” 、日本料理では ”追い回し” 、と言う。

食品衛生

テキスト「ホテルビジネス基礎編」264ページ

食品衛生の定義

世界保健機構(World Health Organization, WHO)の食品衛生の定義
「食品を最終消費の段階まで、その栽培、生産、加工のすべての段階で、食品を安全に、衛生的に、完全に保つに必要な手段」

食品衛生法

食品衛生法(しょくひんえいせいほう、昭和22年法律第233号)は、日本において飲食によって生ずる危害の発生を防止、食品に関して必要な規制、その他の措置を規定している法律。

所管は厚生労働省(表示に関してのみ消費者庁)。食品の安全性確保のため、飲食に起因する衛生上の危害の発生を防止することを目的としている。1947年(昭和22年)に制定され、1948年(昭和23年)1月1日施行された。 近年の、雪印事件やBSE問題など、食品関係の不祥事が相次いだことに起因して、2003年(平成15年)に制定以降初めての大改正が行なわれた。

営業許可と施設基準

飲食店などを営もうとするものは、都道府県知事の許可を受けなければならない(法第52条)。公衆衛生に与える影響が著しい営業について、都道府県による施設基準が定められ(法第51条)、許可にあたっては、その基準に合うかどうか>保健所により立入調査が行われる。

営業許可が必要となる業種

営業許可が必要となる業種は、食品衛生法施行令第35条に定義されている。
第三十五条  法第五十一条 の規定により都道府県が施設についての基準を定めるべき営業は、次のとおりとする。
資料(島根県)※別紙で34業種、どれがホテルに関係するでしょうか?

食中毒

テキスト「ホテルビジネス基礎編」180ページ
テキスト「ホテルビジネス基礎編」264ページ

食中毒発生状況

資料「平成28年食中毒発生状況-原因施設別食中毒発生状況」
※1年間に旅館は、何軒、何割起こっているか?
厚生労働省 > 政策について > 分野別の政策一覧 > 健康・医療 > 食品 > 食中毒 > 食中毒事件一覧速報)

資料「平成28年食中毒発生状況-原因食品別食中毒発生状況」
※どんな食品の食中毒が多いのか?

資料「平成28年食中毒発生状況-原因原因物質別食中毒発生状況」
※何が原因物質か?

食中毒の報告

食品衛生法に規定されている。

  • 医師は、食中毒の患者を診断したときには、24時間以内に最寄りの保健所にその旨を届け出なければならない(法第58条, 規則第72条)
  • 医師からの届出に応じて、保健所による調査が行われる。
  • 保健所の調査結果は都道府県知事に報告されるが、次によるものは直ちに厚生労働大臣へも報告(いわゆる速報対象)される(法第58条、規則第73条、規則別表第17)
食中毒 → 医師 → 保健所 → 都道府県知事

食中毒発生の3条件

発生の3条件

  • 栄養分:食品、残菜、有機物の汚れが細菌の栄養素となる
  • 水分:水分活性を0.5AW以下に抑えるとどんな微生物の増殖も防ぐことができる
  • 温度:一般に15度~40度が増殖の適温で、35度前後が最も良く増殖する
  • 細菌は生物ですが、酸素がなくても増殖する菌がある
    細菌の中には、酸素が無い状態でも増殖する(嫌気性(けんきせい))がある。

    ボツリヌス菌は土壌や海、湖、川などの泥砂中に分布している嫌気性菌
    ウエルシュ菌人や動物の腸管、土壌、水中など自然界に広く分布し、ボツリヌスと同じ酸素を嫌う嫌気性菌

食中毒の発生過程

・食品に食中毒菌が付く(感染)⇨増える(増殖) ⇨食べる(喫食) ⇨食中毒

二次感染

食中毒予防の三原則

食中毒予防の三原則

[つけない] 清潔・洗浄、[増やさない] 迅速・冷却、 [やっつける] 加熱・消毒

細菌の増殖

3つの条件

食品中の水分活性

水分が多いと、増殖しやすい。「水分活性」とは、生物が利用できる水分量のこと。

食品の水分活性 (単位:Aw)水分活性0.50Aw以下だと、微生物の発生を抑える。また塩分や糖分を多く含む食品は、自由水が結合水となり、水分活性は低下する。

賞味期限
袋や容器を開けないままで、書かれた保存方法を守って保存していた場合に、この「年月日」まで、「品質が変わらずにおいしく食べられる期限」のこと。スナック菓子、カップめん、チーズ、かんづめ、ペットボトル飲料など、消費期限に比べ、いたみにくい食品に表示されています。 http://www.maff.go.jp/j/syokuiku/kodomo_navi/featured/abc2.html、農林水産省「消費期限と賞味期限」(2017-03-20)

消費期限
袋や容器を開けないままで、書かれた保存方法を守って保存していた場合に、この「年月日」まで、「安全に食べられる期限」のこと。お弁当、サンドイッチ、生めん、ケーキなど、いたみやすい食品に表示されています。その食品によってもちがいますが、だいたい、5日以内です。表示をよく確認して、この期限を過ぎたら食べないようにしてください。 http://www.maff.go.jp/j/syokuiku/kodomo_navi/featured/abc2.html、農林水産省「消費期限と賞味期限」(2017-03-20)

今日の学習を、クイズで確認します。
知っていたこと、理解したこと、知らなかったことを整理します。
勉強は、知らなかったことを知ることです。
知らなかったことを知ることは、未来のチャンスを増やすことです。

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確認クイズ